ベトナム進出を考えるなら、今がチャンスな5つの理由

「海外進出、特にベトナムと聞くと、なんだか遠い世界の話だ…」。
「うちのような中小企業には、まだまだハードルが高い」。

もしあなたがそう感じているなら、この記事はあなたのためのものです。

こんにちは。
中小企業向けの海外進出コンサルタント、山崎大地と申します。
私はこれまで15年間、アジアでのビジネス支援に携わり、そのうち10年以上はベトナムという国の可能性に魅せられ、現場を走り回ってきました。

今、多くの経営者から同じような相談を受けます。
「ベトナムは本当にチャンスがあるのか?」と。

私の答えは、常に同じです。
中小企業にとって、ベトナム進出は今が最大のチャンスです」。

この記事では、私が30社以上の進出を支援してきた現場の経験から見えてきた、「リアルなチャンス」についてお話しします。
机上の空論ではありません。
データと、私が現地で見てきた生々しい事例を交えながら、中小企業目線での最新事情と成功のヒントをお伝えします。

理由①:ベトナム経済の安定成長と中間層の拡大

GDP成長率と国内消費の力強さ

まず、ベトナム経済がいかに力強いかを見てみましょう。
世界銀行などの機関は、2025年のベトナムのGDP成長率を6.5%〜7%と予測しています。
これは、世界的に見ても驚異的な数字です。

しかし、ただの数字ではありません。
この成長が意味するのは、あなたの会社の商品やサービスを買い求める「財布」が、ものすごい勢いで増えているという事実です。

私が初めてホーチミンに駐在した10年前、街にはまだ素朴な風景が広がっていました。
しかし今では、高層ビルが立ち並び、週末のショッピングモールは最新のファッションや家電を求める家族連れで溢れかえっています。
この熱気を、ぜひ肌で感じてほしいと思います。

中間層の拡大がもたらす新たなビジネス需要

経済成長の最も大きな果実は、「中間層」の爆発的な拡大です。
彼らは少し高くても質の良いもの、便利なサービスを求めています。

「もっと快適な暮らしがしたい」
「子供には良い教育を受けさせたい」
「週末は家族で美味しいものを食べたい」

こうした欲求は、そのまま新しいビジネスチャンスに繋がります。
例えば、以下のような分野で、日本のクオリティが求められています。

  • 高品質なベビー用品
  • 安全・安心な加工食品
  • 学習塾や幼児教育サービス
  • 機能的な化粧品や美容サービス

あなたの会社の技術やサービスが、ベトナムの人々の生活を豊かにするかもしれません。

コロナ後の経済回復スピードとその背景

コロナ禍で世界経済が停滞した際も、ベトナムはいち早く回復を遂げました。
その背景には、政府の迅速な対応と、国民の「より良くなりたい」という強いエネルギーがあります。

この回復力は、ベトナム市場の底堅さを示しています。
一時的なブームではなく、長期的に安心してビジネスに取り組める土壌があることの証明と言えるでしょう。

理由②:若くて豊富な労働力と人件費のバランス

人口構成と労働市場の特徴

ベトナムの強みは、何と言ってもその「若さ」です。
人口約1億人のうち、平均年齢は約33歳。
街を歩けば、活気に満ちた若者たちの姿が目に入ります。

これは「人口ボーナス期」と呼ばれ、働く世代が非常に多い、国が最も成長する時期を意味します。
日本では失われつつあるこの活気が、ベトナムには満ち溢れているのです。

製造業・IT業界における人材の質とコスト

「若いだけでは…」と思われるかもしれません。
しかし、ベトナムの若者は非常に勤勉で、学習意欲が高いのが特徴です。

特にIT分野では、政府が理数系教育に力を入れていることもあり、優秀なエンジニアが毎年数多く輩出されています。
人件費は日本に比べてまだ低い水準にあり、コストを抑えながら優秀な人材を確保できる可能性があります。

【ベトナム人人材の魅力】

項目特徴
年齢平均年齢が若く、活気がある
学習意欲新しい技術や知識の習得に積極的
人件費日本に比べコスト優位性がある(ただし上昇傾向)
親日感情日本の技術や文化への関心が高い

もちろん、人件費は年々上昇しています。
だからこそ、「今」動くことに価値があるのです。

現地人材との信頼関係構築のコツ(実体験紹介)

ただし、文化や価値観の違いから、最初は戸惑うことも多いでしょう。
私も、納期に対する考え方の違いに頭を抱えたことが何度もあります。

大切なのは、彼らを「労働力」として見るのではなく、「パートナー」として尊重することです。
私がいつもクライアントにお伝えするのは、「月に一度でいいから、スタッフと仕事以外の話をしてください」ということです。

先日も、支援先の社長が現地の若手リーダーを食事に誘い、彼の家族の話や将来の夢に耳を傾けていました。
その翌週から、彼の仕事への姿勢が明らかに変わったそうです。
こうした地道なコミュニケーションが、最終的に大きな成果を生むのです。

理由③:政府の外資誘致政策と制度整備の進展

ベトナム政府の外資戦略と優遇政策の動向

ベトナム政府は、国の成長のために外国からの投資を積極的に歓迎しています。
特に、ハイテク技術や環境関連ビジネスなど、国の発展に貢献する分野への投資には、手厚い優遇策を用意しています。

これは「誰でもウェルカム」というわけではなく、「国の未来を一緒に作ってくれるパートナーを探している」というメッセージです。
中小企業であっても、独自の技術やノウハウがあれば、大きなチャンスを掴むことができます。

中小企業にも活用できる制度例(工業団地、免税措置など)

「政府の政策なんて、大企業向けの話だろう?」と思うかもしれません。
しかし、中小企業こそ活用すべき制度がたくさんあります。

1. 工業団地への入居
インフラが整備された工業団地に入居することで、手続きが簡素化されたり、税金の優遇を受けられたりします。

2. 法人税の優遇措置
特定の業種や地域では、数年間にわたって法人税が免除・減額されることがあります。

3. 裾野産業への支援
ベトナム国内の製造業を支える部品・素材産業(裾野産業)には、特別な優遇措置が設けられています。

これらの制度をうまく活用すれば、初期投資の負担を大幅に軽減することが可能です。

JETROや地方自治体との連携支援活用術

自社だけで情報収集するのは大変です。
そんな時は、公的な支援機関を頼りましょう。

JETRO(日本貿易振興機構)は、ハノイとホーチミンに事務所を構え、専門家が無料で相談に乗ってくれます。
また、日本の地方自治体も、地元の企業の海外展開を支援するプログラムを用意している場合があります。

まずは「JETROのセミナーに参加してみる」「地元の商工会議所に相談してみる」といった小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。

理由④:日本企業との相性と現地での信頼感

日本ブランドへの信頼と日越関係の安定性

ベトナムが親日国であることは、よく知られています。
日本のアニメや食文化が広く浸透しているだけでなく、「Made in Japan」の製品は品質の証として絶大な信頼を得ています。

この「信頼」は、ビジネスにおいて何物にも代えがたい資産です。
あなたが日本の企業であるというだけで、現地では好意的に受け入れられ、ビジネスの扉が開きやすくなるのです。
これは、他の国ではなかなか得られない大きなアドバンテージと言えるでしょう。

過去の支援事例:現地企業との連携成功例

私が支援した大阪の小さな金属加工メーカーの事例です。
高い技術力を持ちながらも、国内市場の縮小に悩んでいました。

そこで、ベトナムのバイク部品メーカーとの提携を提案。
最初は言葉の壁や品質管理の考え方の違いに苦労しましたが、日本の技術者が現地に根気強く指導を続けました。
結果、ベトナム製の安価な部品に「日本の品質」という付加価値が生まれ、今ではASEAN全域に販路を拡大しています。

この成功の鍵は、日本の技術力とベトナムの生産力を、お互いを尊重しながら組み合わせたことにあります。

異文化理解と“日本流”がぶつかるポイントとその乗り越え方

しかし、良いことばかりではありません。
「日本流」が通用せず、壁にぶつかることも多々あります。

「日本では『言わなくても分かる』ことが、ベトナムでは全く通じない」
「『報・連・相』を徹底させようとしても、なかなか定着しない」

こうした問題は、どちらが良い・悪いではなく、単なる文化の違いです。
大切なのは、日本のやり方を押し付けるのではなく、彼らの文化を理解し、その上で会社のルールを作っていくことです。
例えば、指示は必ず具体的で明確な言葉で伝え、期限も「なるべく早く」ではなく「明日の17時まで」と設定する。
こうした小さな工夫の積み重ねが、異文化の壁を乗り越える力になります。

理由⑤:競合が増える前の「先行者メリット」

大手企業だけが狙っているわけではない

「ベトナム市場が魅力的なのは分かった。でも、もう大手企業に独占されているのでは?」
そんなことはありません。

確かに大手企業は大きな投資をしていますが、彼らが手の届かないニッチな市場は、まだまだ無数に存在します。
むしろ、小回りの利く中小企業だからこそ掴めるチャンスがたくさん眠っているのです。

実際に動き出している地方企業のリアル事例

私のクライアントには、地方の中小企業がたくさんいます。
例えば、こんな企業が今、ベトナムで奮闘しています。

  • 九州の食品メーカー: 現地の嗜好に合わせて味付けをアレンジした冷凍食品が、富裕層向けスーパーで人気に。
  • 北陸のIT企業: 現地で採用した若手エンジニアチームが、日本向けのソフトウェア開発を低コストで実現。
  • 四国の美容サロン: 日本式の丁寧な接客と高い技術が口コミで広がり、予約の取れない人気店に。

彼らは皆、最初はあなたと同じように不安を抱えていました。
しかし、勇気を出して一歩を踏み出したことで、新たな成長の道筋を見つけたのです。

「チャンスは今」—進出のタイミングと準備の目安

ここまで読んで、「少し興味が湧いてきた」と感じていただけたでしょうか。
ベトナム市場は、間違いなく成長を続けます。
しかし、競合が増え、人件費がさらに上昇する前に動くことで得られる「先行者メリット」は計り知れません。

完璧な準備が整うのを待っていたら、チャンスはあっという間に過ぎ去ってしまいます。
まずは情報収集や現地視察からでも構いません。
「いつか」ではなく「今」、行動を起こすことが重要です。

まとめ

最後に、ベトナム進出を今こそ検討すべき5つの理由を、もう一度確認しましょう。

  • 1. 経済成長と中間層の拡大: あなたの商品を待っている市場が、急速に広がっている。
  • 2. 若くて豊富な労働力: 国の成長を支える、活気ある若い人材をパートナーにできる。
  • 3. 政府の積極的な外資誘致: 中小企業でも活用できる、手厚い優遇制度がある。
  • 4. 日本への高い信頼感: 「日本の企業」というだけで、大きなアドバンテージになる。
  • 5. 競合が増える前の先行者メリット: 小回りの利く中小企業だからこそ、ニッチな市場を狙える。

海外進出は、決して簡単な道のりではありません。
もちろん、今回ご紹介したような輝かしいチャンスだけでなく、注意すべきリスクや課題も存在します。
より多角的な視点からベトナム進出のメリット・デメリットを深く理解するために、こちらの記事も併せてお読みいただくことをお勧めします。

しかし、国内市場の未来に漠然とした不安を抱えているなら、外に目を向ける勇気を持つべきです。

中小企業でもできる。
いいえ、中小企業だからこそ、ベトナムで成功できるチャンスがあるのです。

この記事を読んで、あなたの心に少しでも火が灯ったなら、これほど嬉しいことはありません。

山崎大地からのメッセージ:「一歩踏み出す企業にこそ、未来はある」

最終更新日 2025年7月14日